近代化の成熟過程にあった欧州では、自民族による主権国家を造る「ナショナリズム」が広がったのです。彼らは少数派のユダヤ人を迫害しました。するとユダヤ人の民族意識に火が付きます。富裕層はユダヤ人の「帰還」事業(農民としての入植)を支援し、同時期にユダヤ人国家建設運動「シオニズム」が登場します。
国家建設は第一次大戦でオスマン帝国が負け、この地の支配者が消えると一気に現実味を帯びます。シオニズムが声高に叫ばれ、欧州のユダヤ人の移住が加速しました。それが先住のアラブ人(パレスチナ人)との衝突を引き起こしました。
オスマン帝国に代わりこの地を統治したイギリスは、衝突を抑えられず解決を国連に委ねます。国連はこの地をユダヤ人とアラブ人で二分する策を提案、そうして1948年にユダヤ人国家イスラエルが誕生しました。
当然アラブは反発し、イスラエル建国翌日に第一次中東戦争が勃発します。イスラエルが足並みがそろわないアラブを下します。その後両者は戦争をさらに3度繰り返すことになりました。
イスラエルは1993年にパレスチナの暫定自治を認めるオスロ合意を締結しますが、溝は埋まらず今も和平が進んでいません。
この間にイスラエルはIT国家として世界を席巻するようになりました。アラブの一部の国は経済協力のため、またイランに備えるため、イスラエルとの関係を正常化させています。宿命の敵は、戦略とビジネスのパートナーとなるのでしょうか。
イスラエルを知るキーワード
キーワード①:テルアビブ
イスラエルの経済の中心。ヤッファ港郊外にユダヤ人移民がテルアビブの街を造り、やがて2つが合体しました。市場やビーチが人気ですが、稀にテロが発生します。
キーワード②:エルサレムにある嘆きの壁
ユダヤ王ヘロデが改築したエルサレム神殿を、反乱を鎮めに来たローマ軍が紀元70年に破壊しました。残った西壁がユダヤの聖地となりました。
キーワード③:ネゲブ核研究所
1950年代にフランスの援助で造られました。平和利用のためとされますが、イスラエルが核兵器を保有しているのは公然の秘密です。
キーワード④:点滴灌漑
イスラエルの先端農業企業が開発した、少量の水で作物を育てる仕組み。イスラエルのネゲブ砂漠でのブドウ栽培とワイン製造という奇跡を成し遂げました。
キーワード⑤:ゴラン高原ワイン
第三次中東戦争以降、ゴラン高原を実効支配中。ここで入植者が生産するワインは、国際的な評価も高いです。さぞかし美味なことでしょう。