各国の安保戦略や軍事情勢が大きく変わりつつある現代。中国が海軍力を高め、太平洋進出を強化したことにより、アメリカとの対立が激化している。かつての超大国ロシアは、ウクライナ侵攻で国際的失墜を示す一方、NATOが存在感を高めている。そして、東側諸国と西側諸国にゆさぶりをかけているのが、これまで注目されてこなかったアフリカ諸国である。いま、これまでなんとか均衡を保ってきた世界のパワーバランスが崩れつつあるといえるだろう。本書は、いまの国際問題を読み解くうえで不可欠な最新の世界の軍事情勢について、地図を多用してわかりやすく解説する、教養として知っておきたい「世界のいま」を網羅した一冊。
【第1章】一触即発のホットスポット
プーチンの核使用もありうる!? ウクライナ危機
ウクライナ侵攻をきっかけに深刻化 NATOとロシアの対立
中国の海洋進出で激化する米中対立(インド太平洋地域での攻防戦)
中国の侵攻は本当にあるのか? アジアの火薬庫・中台問題
2大新興国・中国とインドのつば迫り合い
軍事的に重要な尖閣諸島や北方領土
すでにアメリカ全土が標的 北朝鮮の弾道ミサイルの脅威
イランの核開発問題でペルシア湾に緊張が高まる
中東情勢の変化により、イスラエル対アラブに新たな展開も
温暖化が進み、北極圏の権益が新たな火種になる
【第2章】日本の防衛力
戦後日本の防衛政策が大転換!これからどう変わるのか?
知られざる日本の自衛隊の実力を探る 陸上自衛隊
知られざる日本の自衛隊の実力を探る 海上自衛隊
知られざる日本の自衛隊の実力を探る 航空自衛隊
知られざる在日米軍の実力を探る
在日米軍は有事の際、本当に機能するのか(日米安保)
日本は尖閣諸島や北方領土での有事に対応できるのか?
国境周辺の新たな防衛体制
日本が参加するQUADはNATOになれるか?
日本が準同盟国を増やしている理由とは?
核兵器を共有する「核シェアリング」が日本の切り札に?
【第3章】各国の軍事力
「世界の警察」と言われてきたアメリカ軍が軍事戦略を転換した
ウクライナ侵攻で露呈したロシア軍の脆弱さ
アメリカを目標に着々と戦力を増強してきた中国軍
仮想敵国を北朝鮮から日本にした韓国軍
大規模ながら装備が旧式すぎる北朝鮮軍
アメリカの支援を受け、着実に強くなった台湾軍
小数精鋭のジャンブル集団、イギリス軍
EU最大の戦力をもつフランス軍
その他の有力国
NATOは集団的自衛と抑止力を行使する世界最強の軍事同盟
【第4章】軍事情勢を理解するための基礎知識
変化する戦争の形?総力戦から非対称戦、そしてまた総力戦へ?
陸・海・空・サイバー空間、どんな戦力で、どう戦う?
NATO、COSTO、上海協力機構……複雑さを増す世界の軍事同盟
戦略核と戦術核の違いは? 圧倒的な力をもつ核兵器
ドローンの有効性が証明され、戦闘の無人化がますます進む?
中国がアメリカをリードする「AI」の軍事利用
サイバー攻撃で撹乱するハッカー部隊の脅威
軍事を民間にアウトソーシング 現代戦には民間軍事会社が欠かせない
軍隊だけでなく経済、金融などを巻き込んだ「ハイブリッド戦争」が主流に
世界情勢の緊張の高まりによって、徴兵制を再開する国が増えている
軍事と表裏一体 激しさを増す宇宙開発競争のゆくえ
【注目】巻頭マップ
最新の各国軍事力ランキングはこうなっている!
地図で見る軍事衝突が起こっている・起こりそうな地域(紛争地図)
【監修者】齋木伸生(さいきのぶお)
1960年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業、早稲田大学大学院法学研究科修士課程修了、同博士課程修了。国際条約史論専修。経済学士。法学修士。外交史と安全保障を研究、ソ連・フィンランド関係とフィンランドの安全保障政策が専門。軍事評論家としても活動しており、BSフジ『プライムニュース』などに情報提供している。主な著書に『ドイツ戦車発達史』(光人社)、『フィンランド軍入門』『世界の海戦史』(イカロス出版)、『軍艦の秘密』(PHP研究所)などがある。月刊誌『軍事研究』(ジャパン・ミリタリー・レビュー)にも寄稿。
地図でスッと頭に入る世界の軍事情勢