死者・行方不明者数の被害をここまで大きくした原因は高潮です。高潮は「気象津波」の異名をもつほど破壊力が強い現象です。
この台風は被災地名から「伊勢湾台風」と命名され、日本の防災計画の礎となる「災害対策基本法」という法律が制定されるきっかけとなりました。伊勢湾台風は今なお災害対策の指標として用いられています。
国民の生命・財産を脅かすような危機的な事態が差し迫っているときに「最大級の警戒」を呼びかけるために発表されるものが特別警報で、2013(平成25)年8月より提供が開始されました。台風に関するものとしては大雨、暴風、高潮、波浪が考えられますが、発表の目安として「伊勢湾台風クラス」が例示されています。
伊勢湾台風で高潮被害が甚大になった理由
では改めて、伊勢湾台風ではどうしてここまで高潮被害が甚大になったのでしょうか。
これには気象学的要因に加え地形も関係しています。まず、台風接近時は平常時よりも気圧が大きく低下します。すると、海水が上へと吸い上げられる「吸い上げ効果」が起こります。一般に、気圧が1hPa下がると海水面が1㎝上がります。
また、海面を強い風が吹き抜けると、風の力によって海水が吹き寄せられます。これを「吹き寄せ効果」といいます。台風の中心に近い伊勢湾周辺では最大風速40~50m/sの猛烈な風が吹きました。「吹き寄せ効果」の影響もかなり大きなものであったでしょう。
また、伊勢湾のような南側に面していて、さらに内陸側へ深く入り込んでいるような湾は、大規模な高潮が発生しやすい傾向にあります。伊勢湾台風のときも、台風の中心の東側に位置した伊勢湾では外海から湾内に向かって南寄りの猛烈な風が吹き込み、風とともに湾の奥に向かって大量の海水が流れ込んでいったため、より激しい高潮になったのです。
伊勢湾台風から考える災害への備え
近年では、2018(平成30)年の台風21号による顕著な高潮(大阪で最高潮位329㎝など)により、関西国際空港が浸水しました。
気象災害の激甚化が叫ばれる昨今、伊勢湾台風、あるいはそれを上回る規模の台風がいつ来襲してもおかしくありません。いざというときに慌てないよう平時からハザードマップを確認し、災害への備えを怠らないようにしたいものです。
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