2019年12月27日。81年にわたって利用されてきた東京メトロ銀座線の渋谷駅ホームが、移転のためにその役割を終えました。日本最初の地下鉄路線となった銀座線には、同じように移転のために廃止されたホームや、駅そのものが廃止されたケースが渋谷駅ホーム以前に3例あります。

昭和2(1927)年に開業した日本最古の地下鉄路線である銀座線。現在と同様の、渋谷~浅草の直通運転が始まったのは、昭和14(1939)年。地下鉄の創成期で建設技術が今ほど発達しておらず、次々と路線が増える過程では、ホームの移設や駅の廃止は、避けられない通過点だったのかもしれません。
【幻の駅①】旧東京高速鉄道・新橋駅
「幻のホーム」「幻の新橋駅」と呼ばれて、メディアで時折取り上げられるのが、旧東京高速鉄道の新橋駅。現在の銀座線新橋駅の虎ノ門寄りの場所にあります。
銀座線は、浅草~新橋は東京地下鉄道、新橋~渋谷は東京高速鉄道のそれぞれが建設し、個別に運営していたのですが、昭和14(1939)年に統合されて直通運転を開始。そのため、東京高速鉄道側のホームがわずか8か月で廃止となったのです。
イベント時には見学が可能
跡地は、銀座線車両の留置線(翌日の運転などに備えて、車両を車両基地に戻さずに留めておくための線路)のほか、職員の会議室や休憩室などに利用されています。一般の人は立ち入れませんが、東京メトロのイベントで「幻の駅」が公開されることはあります。
10年ぶりに一般向けイベントで公開!
長らくバリアフリー化や駅周辺の改良工事に伴い一般公開が途絶えていましたが、2026年5月、東京メトロの特別イベント列車「夢の冒険列車 ルート銀丸」の企画によって、約10年ぶりに事前抽選の一般参加者を乗せた列車がこの幻のホームへと乗り入れました。
【幻の駅②】銀座線・表参道駅
銀座線表参道駅は、開業当初は「青山六丁目」の名称で、現在より180m渋谷寄りにありました。昭和14(1939)年に「神宮前」へと改称しましたが、昭和47(1972)年、銀座線と十字に交わる千代田線が開業し、千代田線に明治神宮により近い明治神宮前駅ができたため、神宮前から「表参道」に改称しました。
現在は資材置き場などに利用
昭和53(1978)年には、銀座線と並行して走る半蔵門線の表参道駅もでき、乗り換えの利便性を考慮して、もともとあった銀座線のホームを廃止することとなりました。旧ホームは、資材置き場などに利用されています。
【幻の駅③】銀座線・万世橋駅
ホームだけでなく駅がまるごとなくなったのが、昭和5(1930)年に、銀座線の末広町~神田に設けられた「万世橋」駅。
この駅は、神田川の下をくぐるトンネルを掘削する工事期間の仮設駅で、万世橋~神田が開通すると、神田駅に役割を渡す形で、わずか2年足らずで廃駅となっています。
駅の遺構は、一部現存しており、万世橋付近にある階段の痕跡は通気口の役割を果たしています。
【幻の駅④】京成本線・博物館動物園駅
銀座線以外にも廃駅になった駅があります。それは京成本線の京成上野~日暮里にかつてあった「博物館動物園」駅です。
昭和8(1933)年に上野恩賜公園北側の地下に設けられ、帝室博物館(現在の東京国立博物館)、上野恩賜動物園の最寄り駅でした。しかしながら、ホームの長さが車両4両分しかなかったために、6両編成の列車に対応できず通過措置が取られるように。利用は年々減少。1997年に営業を休止し、2004年に廃駅となりました。
駅舎は残され、イベントや展示会に利用されています。
アニメの舞台として奇跡の一般公開
2018年の改修以降、芸術イベントなどで不定期に扉を開けてきた同駅ですが、2025年5月には人気アニメ『葬送のフリーレン』との大型コラボイベントが開催され、期間限定で一般公開されました。
【幻の駅番外編】代々木公園の地下には地下鉄の車両留置線がある
戦前は練兵場、終戦後は米軍に接収されてワシントンハイツとなり、昭和39( 1964)年の東京オリンピックでは選手村として使われた後、都営の公園となった代々木公園。千代田線は公園の南側をほぼ東西に横断する形で走りますが、公園の地下に車両留置線が設けられているのは、一般の人にはあまり知られていません。昭和43(1968)年から45(1970)年にかけて建設されたもので、長さ200mの10両編成列車を8編成も留置できる大規模な空間が広がっています。
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