地形を表すアイヌ語は、ほかにも 「ト」(湖)、「ソ」(滝)、「オタ」(砂浜)、「ピラ」(崖)、「シリ」(島、峰)などがあります。「利尻」は「リシリ(高い島)」が由来です。
また、アイヌ語で「~が多い」「いつも~する」を表す言葉に「ウシ(ウス)」があります。これには「牛」「臼」「石」などの漢字がよく当てられます。
たとえば「浦臼(うらうす)」は、「魚を獲る罠が多い川」という意味の「ウライウシペッ」が由来。「カツラの木が多いところ」を表す「ランコウシ」から「蘭越(らんこし)」、「クルミの木が多いところ」を表す「ネシコウシ」から「根志越(ねしこし)」といったパターンもあります。
アイヌ語地名と狩猟採集生活の深い関わり
こうして見ていくと、アイヌ語地名は狩猟採集生活と深く結びついていることがわかります。アイヌの人々は、地形や植物、動物の習性を熟知していました。
暖かい時期は山菜を採り、秋にはサケ漁をします。冬には、弓矢や罠を用いたり、海や川に追い込んだりして、エゾシカやウサギ、キツネ、タヌキなどの動物を狩りました。トリカブトからつくった強力な矢毒で、ヒグマも仕留めることができました。
アイヌ語由来の北海道難読地名から学ぶアイヌ文化
アイヌの人々は、あらゆるものをカムイ(神)の化身またはカムイからの贈りものと考えました。狩りで獲れる動物のなかでも、クマは「キムンカムイ」(山の神)と呼ばれる特別な存在でした。子グマを生け捕りにした場合は、2~3年間大切に育てたあと「イヨマンテ」という儀式をして丁重にカムイモシリ(神の国)へ送りします。カムイに再び人間界へいきたいと思ってもらい、肉や毛皮をもたらしてもらうためです。
アイヌの人々と自然とのかかわり方は、現代から見ても学ぶところがたくさんあります。アイヌ文化を知る第一歩として、まずは地名の由来を調べてみてはいかがでしょうか。
『北海道のトリセツ』好評発売中!
地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から北海道を分析!地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。北海道の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載です!