相模トラフ沿いではM(マグニチュード)7以上の大きな地震がたびたび発生し、関東を中心に大規模な被害をもたらしてきました。直近では「関東大震災」の名で知られる大正関東地震があります。
大正関東地震は、1923(大正12)年9月1日11時58分に発生。神奈川県西部から房総半島南東沖にかけた領域を震源とするM7.9の大地震で、大手町(東京都)や館山(千葉県)、熊谷(埼玉県)などで震度6(当時の基準)を観測するなど、広域で激しい揺れに見舞われました。ちょうどお昼時であったため市街地は大火に包まれ、沿岸部は大津波に襲われました。その高さは熱海(静岡県)で12mにも達したといいます。
2019(平成31)年2月26日に国が発表した地震評価によると、相模トラフ沿いでは、2タイプの地震が想定されています。
まず「次の相模トラフ沿いのM8クラス(M7.9~M8.6)地震」が30年以内に発生する確率はほぼ0~6%。低いと思えるかもしれませんが、実際は、わが国のおもな活断層のなかで地震発生の確率が高いグループに属します。
そしてもうひとつ、「プレートの沈み込みに伴うM7程度(M6.7~M7.3)の地震」は、30年以内の発生確率が70%程度。いうまでもなく、高い数字となっています。
相模トラフをはしる断層帯
相模トラフの陸側延長線上付近には、いくつかの断層帯があります。
これらは従来、神縄(かんなわ)・国府津(こうづ) -松田断層帯としてまとめて扱われてきましたが、2019年発表の地震評価では、新しい知見に基づき、塩沢断層帯、平山-松田北断層帯、国府津-松田断層帯の3つの活断層に分けて評価を行うようになりました。
その際、神縄断層帯は、活断層ではないと判断されています。
相模トラフの各活断層のランク
3つの活断層のうち、塩沢断層帯はSランク(地震発生確率が高い)、平山-松田北断層帯はAランク(地震発生確率がやや高い)に位置づけられ、国府津-松田断層帯は、相模トラフから分岐する断層帯とされました。国府津-松田断層帯は単独で地震を起こすのではなく、相模トラフと同時に動くという見解で、その頻度は、相模トラフ沿いで発生するM8クラスの大地震の何回かに1回という割合です。
国土地理院色別標高図を基図にして地震調 査研究推進本部の公表資料を元に作成
相模トラフにある断層のずれで生じた地形
ちなみに、足柄平野と大磯丘陵のあいだには、国府津-松田断層がずれたときにできた崖が延びています。この崖ができたのは約25万年前と推定され、足柄平野のおよその形状もこの頃にできました。
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